導入事例

今回ご登場いただく日本コンベンションサービス株式会社様が手がけるのはサービス業のなかでも、長期間お客様と一心同体となってコンベンションや国際会議などのプロジェクトを創りあげていく、プロフェッショナル・コングレス・オーガナイザー(PCO)という仕事。イベントが終わってみなければ最終的な収支が定まらないなか、長いものでは数年にわたる長期間に影響を受ける様々な社会情勢などの変化を鑑みながら、お客様の財布を預かり確かな結果を追求する、責任重大な役割を担います。
日本コンベンションサービス様は創業以来40年にわたり業界No.1の実績とノウハウ、徹底した現場主義からのみ生まれる高品質のサービスを提供し続ける PCO業界のリーディングカンパニーですが、各プロジェクト予算の管理精度向上と、一層の成長を見据えた人材育成のスピードアップが課題に。高度化・多様化するお客様や社会のニーズに応えるため、eMplex PBMをご採用いただき、予算管理という仕事の標準化を実現されました。
予算管理のみならずプロジェクトの進捗そのものの管理品質も改善できたというサクセス・ストーリーを、日本コンベンションサービス株式会社取締役メディカルカンパニープレジデント・沓澤 真美湖様(左)、コーポレートスタッフ部門財務・経理グループグループマネージャー部長・飛澤 慶太様に伺います。
─ 事業内容を教えてください。
日本コンベンションサービスは、プロフェッショナル・コングレス・オーガナイザー(PCO) *1 業界におけるリーディングカンパニーで、40年以上にわたり学術会議、国際会議、企業コンベンションや展示会等の運営をお手伝いしています。1971年PCOとして初めて第18回日本医学会総会に携わって以降、北海道洞爺湖サミットや九州沖縄サミットなど、累計8,000件の実績があります。
これら「コンベンションビジネス(アソシエーション・コーポレート)」と、「人材ビジネス(語学サービス・人材派遣)」が事業の柱で、このうち「コンベンションビジネス」のプロジェクト収支管理にeMplex PBMを採用いたしました。
*1 コンベンション主催者のパートナーとして企画・コーディネーションを行う会議運営専門会社。
─ 幅広い事業を展開していらっしゃいます。
創業時は通訳翻訳サービスからスタート、その後、会議運営をコアに成長してきたのですが、グローバル化に伴うお客様ニーズの変化に対応して事業領域を拡大、99年民間初の論文投稿データベース構築をターニングポイントに、現在では、コンベンションの参加証自動発券機「CARM」や、発表資料データベース「iPos(アイポス)」といった関連事業も展開しています。こうした新事業のアイディアは、お客様との接点である現場担当者がニーズを引き取ってプランに起こし形にしてきたもので、風通しの良い社風がなせる業と自負しています。
我々は未来を見つめる創造力や企画力、豊かな専門ノウハウで最高のコンベンションをお手伝いする、プロの裏方集団です。業界No.1の実績とノウハウ、徹底した現場主義からのみ生まれる高品質のサービスは、日本コンベンションサービス最大の強みといっていいでしょう。
─ 導入前の課題はどんなことだったのでしょうか。
予算管理の標準化による負荷軽減・精度向上と、我々の資本である人材育成のリードタイム短縮です。コンベンションビジネスは大きくメディカル、国際会議、企業コンベンションの3部門に分かれますが、長期間にわたる大掛かりな国際会議、小規模ながら案件数の多い企業コンベンションなど年間約300件のコンベンションを、全国で約100名のプロジェクトリーダーがチームを率いてお手伝いしています。
我々のミッションは、お客様の予算を効率よく最適な形で活用し、間違いなく成果を挙げること。平均数千万、大規模コンベンションだと数十億円規模の予算をお預かりする責任は重大です。これらのコンベンションプロジェクトに係わる予算を、いかに効率よく適正に管理していくかということが課題でした。
─ 以前はどのように予算を管理していたのですか。
プロジェクトチームごとに表計算ソフト等を用い、マネージャーの決めた方法で管理していました。コンベンション運営に関するスケジュール調整や作業項目、注意事項やチェック項目などは、かねてからすべてマニュアル化していたものの、予算管理の実務についてはプロジェクトリーダーの暗黙知だったわけです。1コンベンションあたりおよそ500項目に上る予算の管理はただでさえ煩雑なのですが、管理ノウハウやフローが標準化されていなかったため、「職人技」と化していました。個々の力量に左右される余地も大きいし、チームごとで管理してはいても、タイムリーに登録されているとは限りません。
─ マネジメントの視点からはいかがですか。
コンベンション事業全体の収支を管理する立場から見ると、プロジェクトごとの予算書チェックも馬鹿にならない作業量です。間違いなく管理できる回数には限界がありますから、マネジメントからもプロジェクトリーダー本人からも、同じ情報をリアルタイムで確認できるシステムが必要でした。
─ リソースの面でも不安があったそうですね。
「職人技」と化している分、習得しプロジェクトリーダーとして成長するまでにおおよそ5年ばかりかかっていたと思います。創業40周年を迎え、グローバル化の流れが加速するいま、お客様や社会のニーズに応えるには、フロントでサービスを提供するPCO人材育成の時間短縮も喫緊の課題でした。そのためにも、「人に依存する部分」をシステマティックに管理することで一切排除し、予算管理の精度を上げる必要がありました。

─ コンベンションビジネスならではの収支管理の難しさはありますか?
プロジェクトの予算は、生き物です。特に長期にわたるコンベンションでは市場環境や経済情勢等々で大きく変化しますので、常に収支を意識して最適化を継続する必要があります。そして予算はいうまでもなくお客様のお財布ですから、終わってみて「赤字でした」では済まないんです。
─ どんな変動要因があるのでしょう。
長いもので3年以上を費やすコンベンション事業では、「会場のキャパシティを増やす」「集客が予定通りに進まない」「経済情勢の変化で追加スポンサーを募る」など、予算修正を迫られるクリティカルな環境変化も避けて通ることはできません。最近でいえば9.11やSARSといった想定外の事態にも、その都度最新条件下で最善の提案を行う責任があります。
また、そうした外部要因だけでなく、コンベンションの予算というものはそもそも当初予定より膨張しがちな性質を持っています。スタート時は最小限と思っていても、会期が迫るにつれ「VIP招待枠にあと何席追加」「記念品はもう少しグレードアップ」など、どうしても欲が出てくる。クライアントと一心同体でイベント成功へまい進するなかでは当然感情移入が伴いますが、いかに情に流されることなく、追加してもいい予算/お断りすべきご要望を切り分けて本質的にお客様の利益を追求できるかが鍵なのです。
─ システム刷新によって目指されたゴールを教えてください。
最適なコンサルテーションには、社会情勢と目の前のお客様に関するあらゆる情報を鑑みながら、予算の消化状況と最終的な着地点を正確に予測することが不可欠です。システム化できることはシステムに任せ、従来プロジェクトリーダー個々人の力量に依存していた予算管理のスキルを標準化することによって、サービスレベル全体の向上を目指しました。
─ プロジェクト開始のきっかけは?
ひとつは、予算管理に使っていた既存システムのバージョンアップです。eMplex PBMのように「支払予定」までカバーする製品ではなく、伝票として処理された分しか登録できない仕組みだったのですが、何にしても入れ替えが必要でした。
─ 既存システムの限界も感じていらしたそうですね。
バージョンアップに加えて、データのエクスポート機能がなかったため、膨大な支払データの二重入力を余儀なくされていた現状の改善がふたつ目のきっかけになりました。従来のシステムでは、データベースソフトに予算管理用のデータを入力、この処理とは別に請求書ベースの支払伝票を起票しプリント・押印した伝票のデータを財務・経理グループで再度財務会計システムに入力する流れ。煩雑な割に、経営管理部門からはいま現在支払処理が実行された分の情報しか把握できていなかったので、今月末、今期末などの予測が立ちません。
これが小口精算、プロジェクトごとの弁当代、椅子や机のレンタル、看板製作、アルバイト代、機材リース..と500件以上回ってきますから、全体予算のなかで判子を押していいのかどうか、冷静な判断にもひと手間です。最終的に大きくつじつまが合わないといった最悪の事態ではないものの、いずれにせよシステム刷新が避けられないのであれば、現状維持に加え前向きなプラスαの機能を求めようと考えました。

─ システム選定はどのように行われたのでしょうか。
収支管理。また債権請求を含む売掛と見積管理に要求機能を絞って、最初は、既存会計システムの追加開発を検討しました。ところが見積を取ってみたら、億単位の金額にも関わらず、我々の求める機能すべてはカバーできないことが判明したのです。それだけ投資しても100%でないのなら、最も緊急度の高いコンベンションビジネス予算管理だけを切り分け、その分管理を徹底しようと方針を転換したものの、プロジェクト予算管理だけでもスクラッチ開発だと1億円を超える見積が...。何とかそこまでは費用をかけずに解決する手段はないかと、駄目で元々の気持ちでサーチエンジンを頼ったのが、eMplex PBMとの出会いでした。
─ 最初の印象はいかがでしたか。
正直申しあげて、「我々が求めるプロジェクト収支管理に対応するパッケージソフトなんて存在するわけがない」と、全然期待していなかったんです。ところがeMplex PBMを見てみたら、意外に合っている。支払予定や項目別の消化状況表示や予算/費用項目をプロジェクト進行中にも調整できる点など、製品が元々備えている「思想」の面で、我々の要求とピッタリだったことに驚きました。
─ ほかの製品はご覧にならなかったのでしょうか。
資料は請求しましたが、考え方は合っていてもスタンドアロン型のみだったり、逆に巨大システムだったり、5〜10名のメンバーからなるプロジェクトの予算を程よく管理できるジャストフィットの製品は、eMplex PBMだけでしたね。
─ 導入作業はスムーズでしたか?
先ほどお話した通り、eMplex PBMのようなソリューションで「やりたいこと」ははっきりしていたので、マスタ設定等で深刻な悩みを抱えることもなく、ほぼ当初予定通りに運用開始できています。苦労したといえば、同じコンベンションビジネスでも企業コンベンションは短期間、外税、案件数が多いのに対し、メディカル系は2〜3年の長期プロジェクトで内税、案件数自体は限られる、と対照的なので、eMplex PBMというより社内ルールとしてどちらに合わせるかといった決めごとが多かったですね。そうした運用面のコンサルテーションも含めて親身にお付き合いいただいて、エンプレックスのコンサルタントには信頼を感じています。

─ 追加でレポート機能の開発をご発注いただきました。
プロジェクト収支という当初の目的に関してはeMplex PBMで充分なのですが、年間300件のコンベンション全体の傾向を俯瞰して統計・分析に役立てるには少々物足りない点も残ったため、より柔軟なビューで表示できるよう、市販データベースソフトによるレポート機能の開発をお願いしました。プロジェクトごとの予実データが間違いなくすべて集約されていれば自由に加工・分析できますので、繁忙期を過ぎた年末頃から本格的に整備、運用していくつもりです。レポートのほかには、財務会計や勤怠情報とのデータ連携機能の開発をお願いしています。
─ 今回集約を見送った部分についてはどうお考えでしょうか。
本来ならば人材ビジネスも含めて統合管理できるのが理想ですが、コンベンションビジネスとはヒト・モノ・カネ・情報の流れがあまりにも異質です。最初に会計システムの延長を検討した際、億単位の投資を行っても人材ビジネスの収支を集約するのは難しいとわかっていましたので、まずはeMplex PBMで実現する予算管理を徹底するつもりです。
─ 皆さんの反応はいかがですか。
小口精算は事業部に限らず全社員が利用していますが、早くも使いやすいと好評ですね。現場の入力データがそのまま流用できるようになり、財務・経理グループも助かっています。また、入金管理は登録・更新とも財務・経理グループが一元管理することにしたため、負荷軽減に加えて精度向上も実感しています。すでに稼動しているプロジェクト残高のデータ登録が完了すれば、マネジメントも経理や現場もスイスイeMplex PBMを使いこなすものと期待しています。
─ 操作はすぐ慣れていただけたでしょうか。
既存システムを導入した2001年頃までは手書きで起票していたので、移行に伴って随分抵抗もありましたが、当時に比べればずっとスムーズです。まずはリアルタイムで着実な収支管理を定着させることが先決なので、「(見積や請求が)来たらどんどん入れて」を徹底しています。ワークフローの点では、今回初めて導入することになった「検収」*2 という未知の概念の定着が当面の課題でしょうか。
─ 副産物もあったとか。
予算に基づく発注ステータスが表示されるので、マネージャーが「これどうなってるの?」とタイムリーに指示できるのは想定外の導入効果ですね。1案件500項目の予算にも当然優先順位があり、この時期にはもう業者さんを決めて発注していなければならない事項、また早くお願いすれば選択肢が広い、あるいはクオリティが高かったり安く済む事項が存在するのですが、慣れないと順番を間違えてしまう。マネージャーがリアルタイムの予算消化状況をチェックしていれば、仕事の進捗も一目瞭然ですから、より適切な指示を出せます。
また、従来は全国8事業所それぞれの判断で業者さんを決めていたのですが、全国の発注先や支払金額をeMplex PBMで集中管理することによって、全社的によりリーズナブルな選択が可能になると期待しています。進捗に余裕が増えれば成果物と納期・金額などを比較して地方の業者さんにお願いしたり、繁忙期には発注先を分散したりといった判断もしやすくなりますね。
収支管理が目的で導入したeMplex PBMが、実はプロジェクト進捗の管理にも有効と気づいて、目からうろこが落ちる想い。非常に重要なポイントと認識しています。
*2 納入品が要求仕様に合っているかどうかを顧客が検査・収納すること。日本コンベンションサービス様の場合、検収書受領時点で最終的な請求金額が確定する。eMplex PBMの標準設計では、顧客からの検収書回収を登録必須項目として、見積書・発注書・納品書・請求書と一元管理できるように設定してある。
─ ご要望をお聞かせください。
覚書など見積書以外の書類も、eMplex PBM上で一元管理できるともっと便利ですね。書類の有無だけでも確認する機能があればありがたいです。また、ジョブごとの管理機能はとても充実していますので、今後は全社視点での管理機能の拡充に期待しています。
─ 今後の展開をお聞かせください。
eMplex PBMを活用してプロジェクトリーダーの仕事を定型化・標準化したことで、お客様のお財布であるプロジェクト予算の費用対効果を上げる一方、従来よりも短期間のうちに優秀なプロフェッショナル・コングレス・オーガナイザーを育成する礎を築きました。これからも日本を代表するPCOとしての信頼に応え、最多の実績で培ったノウハウと経験豊かな人材を配して、お客様の成功をお手伝いしてまいります。
─ ありがとうございました。
- 本事例中に記載の社名や肩書き、数値、固有名詞等は取材時点の情報です。閲覧される時点では変更されている場合があります。
- 事例は特定のお客様における事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
- 会社名、商品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標または商号です。


