導入事例

意思決定のための情報提供には、マネジメントという目的への適合性とタイムリーさ、そして収集・分析・レポーティング作業に対する適切なROIといった要件が求められます。情報があふれるネット時代だからこそ、理想の未来へ向かおうとする経営システムにとっては、真に有効な情報だけを、迅速にかつ人手をかけず正確にアウトプットする仕組みが重要さを増しているようです。
今回ご登場いただくチェンジ様は、アンダーセンコンサルティング(現:アクセンチュア)のDNAを引き継ぐ「企業変革請負人」。コンサルティング・教育研修事業を通じて、組織と人材のパフォーマンス向上を支援するベンチャー企業です。
創業5年間で7億円強の売上を達成したチェンジ様では、その急成長にふさわしく、かつ将来のIPOを視野に入れた経営管理体制が課題に。コンサルティングのプロとして最小限のリソースで正確・タイムリーな内部管理を実践するため、eMplex CRMのプロジェクト収支管理ソリューション「eMplex PBM」をご採用いただきました。
業務適合率を鑑みた短期定着で、さっそく経営品質向上と面倒やミスの排除とを両立していらっしゃるサクセスストーリーを、株式会社チェンジ代表取締役・神保吉寿様に伺いました。
─ 事業内容を教えてください。
チェンジは、アンダーセンコンサルティング(現:アクセンチュア)出身者5名が集まり、2003年4月に創業した会社です。「Change People, Change Business, Change Japan」をミッションに掲げ、「組織」のパフォーマンス向上を支援するコンサルティング事業と、「個人」のパフォーマンス向上を支援する教育研修事業を展開しています。この春導入したeMplex PBMは、このうちコンサルティング事業におけるプロジェクト収支管理に役立てています。
─ 人材育成が求められる背景には、どのような環境変化があげられるでしょうか。
90年代〜2000年頃まで、企業は分散システムやネット等のIT投資に注力してきました。20世紀のうちはそれほど、人が辞めない時代で、5年10年かけながら先輩の背中を見せて人を育てることも可能だった。
しかしシステム投資は21世紀に入り一巡、同時にネットバブル崩壊を迎えます。一方では人材流動化が進み、他方では学校教育のレベル低下など、企業は主体的に若手社員のボトムアップ、自社の社員として再教育などの課題に取り組まざるを得なくなりました。また、企業が人員削減を行った結果、現場に育成のゆとりが少なくなり、いかに早い段階で戦力化し、早期に人材育成投資を回収するか、そのためどれだけ最初に業務に必要な知識やスキルを叩き込めるかが重要な環境になってきています。
─ チェンジの強みを教えてください。
我々の使命は、アンダーセンコンサルティング時代培った業務や組織にフォーカスした人事・人材育成戦略のスキルとノウハウを突き詰め、日本企業の生産性向上に貢献すること。我々の強みは、従来「ほうれんそう」(報告・連絡・相談)と呼ばれてきたようなビジネスコミュニケーションの分野をきちんと「科学」することによって、個々人のセンス、経験や勘、ついた上司次第などと言われていた領域を誰もが一定水準まで取得できる汎用的な「スキル」として可視化したところにあります。
たとえば「報告」をするとしたら、どんな項目が必要か。これはホワイトカラーであれば、共通のフォーマットがあると我々は考えています。作業の進捗度は?、現状の課題は?、ではどうアクションするのか?、そこにリスクはないのか?.いつ終わるのか?といった具合に内容を分解し、そのフォーマットに従って報告することが可能です。研修ではまた、「お客様にヒアリングする」「上司に報告する」など、実際に起こりうる場面を想定して「何がいけないのか」を考えるプログラムも展開しています。
「聞く」「読む」「書く」「話す」「考える」、これら5つを我々は「基本動作」と呼びます。いわばビジネスパーソンとしてのOSのようなもので、基本動作をしっかりと体得することこそがステップアップの条件だと考え、ロジカルにコンサルティングや研修を提供しているのです。

─ 導入前の課題はどんなことだったのでしょうか。
ベンチャーのご多分に洩れずというか、コンサルティングプロジェクトがややもすると「どんぶり」に陥りかねなかったことですね。表計算ソフト等でツールはすぐ作れてしまうのですが、結果として更新自由度が高すぎて、運用があいまいになってしまう面もありました。
株式公開などはまだ未定ですが、近い将来実行するかどうかはさておき、いざIPOと決意してから慌てるような事態は避けたかった。売上規模が1億2億に収まっている段階ならいざ知らず、第5期決算で7億円強を計上、社員も40名以上に成長を遂げた企業としてきちんと内部管理を実践して、上場にも堪える経営体制をそれなりに確立すべきだと考えたのです。

─ 当初は既存の表計算ソフトを使っていらしたそうですね。
マネジメント陣でプロジェクトごとの収支管理を行うと決めて、原価の元となるタイムレポートすなわち労務費、そして経費をコンサルティング事業部全員に申請してもらうことにしました。我々はコンサルタントとしてかなり高度なレベルで表計算ソフトを駆使してきましたから、その知恵を絞って完璧なワークシートを作ったまでは良かったのですが、結果としてうまくいかなかったんです。
ワークシートで各自が記入したデータを管理部門で集計、経営管理フォーマットでアウトプットするといった流れだったため、どうしても二度手間・三度手間がかかりますし、そもそも面倒です。売上、コスト、経費..と整理して、マネジメントが必要なフォーマットにする、それだけのために多大な労力を費やすのは、純粋に無駄だと早晩限界を知りました。
幸か不幸か、当時いわゆる「available」状態の余剰リソースがゼロだったことも、プロセス定着の面ではマイナスに作用したかもしれませんね。正直そこまでのレベルを求めてはいなかったのですが、100%の人員が着実に捌けている状態では、時間管理の必然性も薄れます。必要がないとますます入力のモチベーションは下がり、掛け声に終わる危機でした。
─ 経営管理部門のリソース配分にも問題を感じておられたとか。
管理会計データは、社の現況がすべて集約される機密情報です。ハンドリングにはよほど信頼できる社員を充てるか、さもなければ事業部長自身が作業するしかない。しかし、そのような優秀な人材が集計に時間を割いている状態は好ましくありませんし、事務作業のために人を増やすのも得策とはいえない。ならば多少の投資が伴ったとしても、入力の作業は現場に分散して、自動集計してくれる仕組みが有効だと判断しました。
─ 管理会計の充実で目指されたゴールはどんなことだったのでしょうか。
我々がサービス提供にあたり最も大切にしているアプローチは、業務プロセスの可視化です。企業そして日本を支える「人」のパフォーマンスを変えるということは、すなわち「仕事のやり方」の変革であり、「やり方」を変えるためには、仕事というプロセスのかたまりを分解し、その一つひとつを見つめ直す必要があります。
マネジメントの品質向上を図る取り組みもまた同じです。収支という結果の構成要素を管理できるかたちで分解して、どのデータが「正」なのかというルールを確立、必要なかたちで集計できる状態がチェンジ自身の変革を促す— そのインフラがよりパフォーマンスの高い体質を産むと考えました。

─ eMplex PBMをお選びいただいたポイントを教えてください。
私を含めて経営層は、エンプレックス同様アンダーセンコンサルティングのDNAを引き継いでいますから、経営のあり方として「理想の姿」「必要な数字」は似通っています。また、コンサルティング事業で培ったノウハウを研修プログラムとしてパッケージ化してきた生い立ちもエンプレックスとは共通します。
そのエンプレックスが、内部統制やIPOを視野に入れ自ら活用するために構築した経営管理システムなら、必ず立ち上がりが早いはずだと確信しました。「監査法人や証券会社のお墨付き」というエピソードに加えて、内部統制やBPRのコンサルティングを多数手がけてきた我々自身の目から見ても、実務に合っていると感じます。したがって、最初から決め撃ちで、eMplex PBMしか考えませんでしたね。
─ まずはコンサルティング事業のみでご利用を始められました。
売上の2/3を占める研修事業は、最短半日からどんなに長くても6日程度。一方で、同時に稼動するプログラムは50〜60と数が多いという特性があります。基本的なテキストへのカスタマイズが結果として新メニューやバージョンアップの「開発」工数に化けることは少なくないのですが、その作業にタイムレポートをつけたとしても、50プログラムのどれと括るのかなどかなり煩雑になると想定されるため、今回はコンサルティング事業への導入を優先しました。
もうひとつ、研修事業での展開を見送った理由は、eMplex PBMを導入した4月が研修の最繁忙期だったことです。まずは納品しないと、収支を管理しても意味がありませんからね(笑)。
─ コンサルティング事業は業務適合性が高いわけですね。
コンサルティング事業は、人数も15名程度と全体のボリュームは小さいながら、1プロジェクトあたり最短で1ヶ月を要します。同時に稼動する案件数も10件程度ですし、チャージも人月単位なので、プロジェクト別の原価・売上を紐付けるに適した業務内容といえます。
とはいえもちろん、研修事業の原価管理を行わないという意味ではなく、費用対効果と現場の使い勝手を鑑みつつ、将来は同じeMplex PBMで集中管理することも検討したいと思っています。たとえば研修コンテンツ別やお客様のアカウント別など、マネジメントとして可視化が望ましいメッシュを精査することが、利用拡大の前提になるでしょうね。

─ 導入準備は順調でしたか。
マスタ設定やトレーニング、すべてすんなり問題なく稼動して、4月から請求書発行業務もeMplex PBMへ移行しました。導入時には実際業務を遂行しているエンプレックスの経営管理部長とも随分打ち合わせを重ねていましたし、入力作業や各項目への理解も早かったと思います。一部、「代理店」をシステム上でどう扱うかという概念が少々あいまいだったための小さなミスは発生しましたが、幸い大事には至りませんでした。
─ 早期定着には何が寄与したのでしょう。
もし一般的な事例よりもスムーズだったとすれば、社内がeMplex PBMの経営管理コンセプトに好意的だったことが勝因でしょうか。プロのコンサルタントとして自分たちでワークフローを書ける会社なので、マスタをどう設計すべきか、また入力したデータがどう管理指標としてアウトプットされトラッキングされるのか、システムが適える仕事の本質に対する理解度は高いかもしれません。
我々の場合は、元々トライし始めていた収支管理やタイムレポート入力、請求書発行などの業務フローのシステム部分をより良いものへ変えただけ、ともいえます。システム云々ではなくて経営管理の思想がはっきりしている分、業務プロセスの可視化というハードルには躓かなかったわけですね。
─ 運用面での工夫をお聞かせください。
最初からすべてをeMplex PBMに求めるのではなく、ワークシートのほうが便利な場合は併用して、一番費用対効果が高く現実的な運用を心がけています。たとえば有給休暇や残業、代休取得状況などの労務管理は、正直いって表計算ソフトのほうがフィットします。ただ、従来そのデータから導き出そうとしていたプロジェクト収支情報を完全に切り分けたことによって、集計担当者の無駄は間違いなく排除できたことが大切なのです。二重入力がイコール完全に悪ではなく、どの業務はどのデータを「正」と位置づけるかの問題だと思います。

─ カスタマイズは考えなかったのでしょうか。
経営管理というビジネス共通のシステムである以上、業務にシステムを合わせるようなカスタマイズは避けるべきです。いきなり完璧を求めて定着できなかったとしたら、そのほうが最悪の事態ではないでしょうか。
労務管理のほかは、引合いから見積、受注まで、営業のステータス管理や受注予測もいまのところ表計算ソフトを「正」としています。eMplex SFAがあれば営業段階から現在の収支管理まで全体の数字を通して把握できるのもわかっていますが、早期定着そして具体的な成果を出すには、「割り切り」も必要だと思うんです。
─ 導入効果を教えてください。
請求情報ひとつとっても、「正」データが確定し一元管理することで先回りのマネジメントが可能になり、経営管理に伴う負担や手作業の責任も軽減できました。無闇に管理業務を肥大化させて頑張らなくていいところで頑張ってもらうのは、マネジメントの本意ではありません。経営者たるもの、大事な社員に「管理業務」なんてやって欲しくないですよ(笑)。
システムで済む仕事はシステムに任せて、請求などリスクの高い仕事からミスの余地をなくしてあげること。経営の視点では、そのインフラを作れることが最も大切だと思います。だから、若手社員から見たら多少入力の負担増だったとしても、その分散は割り切るべきなんです。
─ 皆さんのご感想はいかがですか。
タイムレポートは特に好評で、「楽チンになった!」といっていますよ。入力だけなら表計算ソフトのほうが簡単にも思えますが、ワークシートのコピーを作成するよりは、Web上に保存された前回データを流用できるeMplex PBMの「親切感」が勝るということなのでしょう。プロジェクトコードがあらかじめシステム上に登録してあって、勝手に書き換えたり間違えたりといった「余計なこと」ができない点も評価が高いです。
─ ご要望をお聞かせください。
管理する側の立場でいうと、ワークフロー機能が充実してもいいかなとは思います。監査などを鑑みると最終的に紙と捺印を持って「正」とする考えかたには賛同しますが、経費にしてもタイムレポートにしても、同じシステム上で承認ボタンを押したくなりますよね。オプション等での対応に期待しています。
─ 今後の展開をお聞かせください。
「割り切り」と申しあげた通り、現在は導入範囲も一部業務にとどまり、システムの全体を使いこなしている状態ではありません。まずは文書とプロジェクトの連関を間違いなく管理して、eMplex PBMのメインストリームである「気の利いた機能」を一次導入したフェイズですが、従来ワークシートそれぞれを「正」として人間が同期させていた管理指標から人の介在をできる限り排除して、「データベース上の数値が『正』である」というルールは確立できました。
現実問題として有効な割り切りも、本当のあるべき姿から見るとやはり気持ち悪いには違いないし、もっともっとeMplex PBMを使いこなしたいという意志は持っています。業務とのバランスを精査しながら、遠からず研修事業の収支管理へも展開を検討するつもりです。
生産性向上という我々のミッションからいうと、いままで存在しなかった情報を見られるということ、その経営品質向上を、面倒なく実現することが要諦です。現場も管理部門も、軽減できた貴重なリソースを本質的な仕事に集中させ、お客様の企業変革、ひいては日本全体の競争力向上に貢献していく所存です。
─ ありがとうございました。
- 本事例中に記載の社名や肩書き、数値、固有名詞等は取材時点の情報です。閲覧される時点では変更されている場合があります。
- 事例は特定のお客様における事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
- 会社名、商品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標または商号です。


